~アリストテレスの教育思想~
「人は三つのものによって善くて有徳なものになる。その三つとは、生まれつきと習慣(エトス)と理性(ロゴス)である」
人間のより善い生を実現するためには理論的知のみならず、個人や社会の個別の事態に適切に配慮し実施する実践的知(思慮)を有用なものとして指摘。
人間の最高善である幸福を実現するのは器量。
その器量には思考の働きとしての器量と人柄としての器量がある。前者は教育に負うところが大きく、経験と時間の産物。後者は、自然の本賞(天与の素質)を習慣づけによって完成させることによる。
「(地縁や夜警や経済の共同体であることは国成立の必須条件ではあるが)しかしそれらがことごとく存しても、それですでに国が存するのではない、いや、完全で自足的な生活のために家族や氏族が善き生活において共同するとき、初めて国が存するのである。」--いわば国は、この目的(善き生活)実現への「教育国家」
-アリストテレスとプラトンの相違点-
1)人間世界に対する相違
プラトンが現実界を見る場合、それは理想の世界に向かって現実を超越するため。
アリストテレスは、現象の観察やその観察の対象に注意を固定しようとする。
2)観念の性格とその根拠についての相違
プ:観念とは先験的な実在を目指すもの。
ア:観念はその方向に向かうものではあるが、実在が人間の前に具体的に横たわっていると考えるので、観念の主な働きはその実在の中に遍在すると考える。
3)アリストテレスは、感覚や思考の形式・概念や結論の性格・知識に働く主観的要素と客観的要素・演繹的研究法や機能(帰納)的研究法の原理などを究明した。