· 

読書メモ:その人らしさの芽生え

-----------------------------

この時期(12~20歳)に知識を得る、誰かと知り合う、何かと出会う、そうした環境の作用を受けると遺伝的な形質は文化的に増幅され、才能として発現することになるのでしょう。

 

教育とは白紙に絵をかきこむことではなく、もともと内在している資質をあぶりださせ、適切な方向付けをすることなのだという主張です。人間は一人では生きていくことはできず、社会的な関係が不可欠です。社会的な関係の中で一番の基本は職業(専業主婦なども含む)であり、社会の中に居場所をつくるというのは自分が生き続けていけるニッチを職業の中に見つけることと同義といえます。

 

形を取り始めた雲(その人らしさ)が、どういう風に職業へと変わっていくのか。12歳以降の子供、いや既に大人期に入った人間を教育する立場の人は、「この人間はこれからもっと変わっていく」と考えるのではなく、「この人間にはどういう形質が出始めているのか」という視点で見ることが求められます。

 

一見、役に立たなそうなことが、自分の身を助けることにつながることもあります。少し前であったら、テレビゲームがいくらうまくても何の役にも立たないと考えられていました。しかし、今では国際的な大会で活躍するプロゲーマーや、ゲーム実況を配信して人気を博するYoutuberのような人も現れています。

 

もっともっとささいなこと、例えばついこだわってしまうもの、繰り返し繰り返しそれを見たり訪れたくなる事柄や風景、なぜか絶対人に譲りたくない価値観、その時には才能と呼べるたいそうなものとはとても思えない、見過ごしてしまうような癖であっても、それがすでに才能の素材となりえます。それがまったくない人はいません。

 

才能の発現とは、まだ発現していないものを発現させることよりも、すでに発現しているものの中に文化的・社会的価値を見出していくことだと思うのです。

-----------------------------

・日本人の9割が知らない遺伝の真実:https://amzn.to/2DfkleU