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スタログ:「危機」の由来(現代倫理学)

危機という言葉(crisis, Krise, crise)は、ギリシア語の krinein(名詞は krino)から由来する。

krinein には「分断する」と「清掃する」という意味があり、ここから二つの言葉が生まれている。

一つは「分断する」の意味から Krise「危機」という言葉が、もう一つは「清掃する」の意味から Kritik(批判する)という言葉が生まれた。

したがって、危機(Krise)という言葉と批判(Kritik)という言葉は実に深い関係がある。

 

この krinein の「分断する」という意味はさらに「審判する」という意味に変わり、この「審判する」という意味から「危機」という意味が出てきた。

つまり、「危機」は今まで連続してきたものが断ち切られ審かれている状態である。

今まで続いてきた時代の連続性が分断されて新しい時代へと移り変わるその変わり目である。

 

したがって、それは今までの時代が「質」の全く異なった時代に入りつつあり、その意味において、非連続、断絶を意味する。

それゆえ、今まで通用していたものの見方や考え方や在り方が通用しない領界にぶつかっていることを意味するといえるだろう。