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解説:岸見一郎
第16代皇帝マルクス・アウレリウス(121-180)
ストア哲学
忍従の哲学ではない
運命をいかに克服していくか
160年ごろから約20年にわたって書かれた
自分の内面を見つめ律する言葉が綴られた手記
自分自身に言い聞かせる、自分のための覚書
困難を乗り越えるため
政治性はほとんどない
誰かに見せるためのものでもなかった
1559年に初めて印刷・出版
>我々を守ることができるものは何か。それはただ一つ、哲学だけだ。
>早朝に自分に向かっていえ。
> 私は今日もお節介で恩知らずの傲慢な欺瞞的な嫉み深い非社交的な人間に出会うだろう。
> 彼らは互いに軽蔑し合いながら互いにへつらい合う。
> そして、相手に優越しようと欲しながら互いに譲り合う。
>皇帝化させられてしまわないように染められないように注意せよ。
> それは現に起こることだから。
>生きることのできるところでは、善く生きることもできる。
> ところで、宮廷においても生きることができる。
> したがって、宮廷でもよく生きることができる。
「善く生きる」とは「幸福に生きる」
「善」=ためになる、道徳的意味はない(ギリシャ語)
「悪」=ためにならない
>最初に現れる表象が伝えること以上のことを自分に言うな。
> 何某がお前(マルクス・アウレリウス)のことを悪く言っていると告げられた。
> それは確かに告げられた。
> だが、お前がそれによって害を受けたとは告げられなかった。
> このように常に最初の表象に留まり、自分で内から何一つ言い足すな。
> そうすれば、お前には何事も起こらない。
表象:何か外にあるものを認識するときに、心の中に刻印される映像
人はこの表象に余計な判断を加えてしまう
誰かの悪口に傷つけられたという判断を加えるのは自分自身
この判断を誤ってはいけない
>お前が何か外にあるもののために苦しんでいるのであれば、お前を悩ますのは、その外なるものそれ自体ではなく、それについてのお前の判断なのだ。
> 事物は魂に触れることなく、お前の外に静かにある。
> 苦悩はお前の内なる判断からだけ生じる。
> お前を悩ます多くの余計なものはすべてお前の判断の中にあるので、お前はそれを除去できる。
>お前は自分自身を単純で、善良な、汚れのない、威厳があり、虚飾のない、正義の友で、敬虔で、親切で、愛情深く、義務に対して熱心である者であるようにせよ。
> 哲学がお前を形作ろうと欲したような人に変わらずあるように励め。
自然に一致して生きる=ロゴスに従って生きる
自然=宇宙の秩序である理性=ロゴス
理性:正しく判断する能力
>お前の内を掘れ。
> 掘り続ければ、そこには常にほとばしり出ることができる善の泉がある。
内側を見ないと人は幸福になれない
外からの情報に振り回されてはいけない