自省録(100分de名著)第2回「他者と共生する」

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/86_jiseiroku/index.html
解説:岸見一郎

 人と関われば摩擦が生じないわけにはいかない
 対人関係は悩みの厳選、不幸の源泉
 しかし、生きる喜びや幸福も人との関係の中でしか得ることはできない

>過ちを犯す者をも愛することは、人間に固有のことだ。
> それは次のことをお前が思えたときにできるようになる。
> すなわち、彼らがお前と同類であり、無知のため心ならずも過ちを犯すということ、(中略)とりわけ、お前に害を加えはしなかった。
> なぜなら、お前の指導的部分(理性)を以前より悪くはしなかったから、ということを。
 人間は同じ「ロゴス」を持つ同類
  ロゴス(理性)を分有し調和しているが、完全ではない(過ちを犯す)
  自分を棚に上げたり、相手を怒ったりすることはできない
>わたしは同類の者に腹を立てることも憎むこともできない。
> なぜなら、我々は足や手や瞼や上下の歯並びのように協力するために生まれてきたからだ。
> だから、互いに対立することは自然に反する。
> 憤り、背をそむけることは対立することである。
 対立している状態が本来的な状態ではない、自然に従っている状態ではない
  協力する状態が本来
 現状を追認してしまったら、現状を変える力にはならない
>これら(憤りなど)のすべてが彼らに生じたのは、彼らが善と悪について無知だからだ。
 道徳に落とし込まないほうがいい
  「人を助けてあげるべき」ではなく「自然に助けようという気持ちが起こる」
 本質的には同じようなことを自分もしているという気づきがあれば、ただ糾弾するとかダメとかいう態度を問うことはきっとないだろう
>怒らずに、教え、そして示せ。
>お前が怒りを爆発させたとしても、それでも彼らは同じことをするだろう。
 怒っても事態は改善しない
  例:子どもに「勉強しなさい」と怒る
  社会の現状を子どもに教えることはできるが、勉強するかどうかは子ども次第
 関係がよくなければ、正論を言われても余計に反発する
 怒りの感情をぶつけるという方法そのものが問題があると考えたほうが論理的
 教えれば、(何年かかっても)きっと理解してくれるだろうという信頼
>復讐する最善の方法は、自分も同じような者にならないこと。
 やり返さずに喧嘩の勝負から降りる
>人間は互いのために生まれた。
> だから、教えよ。
> さもなくば耐えよ。
 耐えよ=怒りの感情から解放されて、寛容になれ
  怒りの感情から自由になる
  私がどうすることもできないと思ったときに怒りの感情から自由になれる
>次の結論を心に留め、心を和らげよ。
> 理性的な生き物は互いのために生まれたということ。
> 我慢することは、正義の一部であること。
> 人は心ならずとも過ちを犯すといことを。
> このことを知っていれば、その時、お前はすべての人に優しくあるだろうから。

>誰かに親切をしたとき、その人に感謝してもらうことを勘定に入れがちな人がいる。
> 別な人は、そのようなことはないが、相手を心の中で債務者とみて自分がしたことを意識している。
> さらに別の人は、自分の行為をある意味で意識することさえなく、房をつけ、一度自分の果実を実らせた後はそれ以上他に何も求めない葡萄の木に似ている。
 現代社会は、自分の価値も他人の価値も自分で判断できなくなっている
  例:グルメサイトの点数
   「おいしくない」と思っても点数が4点だったら「おいしかったかも」と思ってしまう
   逆に「おいしい」と思っても2点だったら「おいしくないんじゃないか」と思ってしまう
 褒めてはいけない
 褒める親は叱る親
 子どもは褒められるため、怒られないために勉強をするようになる
 褒められないと適切な行動をしないようになる
 褒める人にコントロールされる
 賞賛されなければ適切な行動をしないという生き方は不自然
>およそどんな美しいものもそれ自体で美しい。
> 賞賛を自分の部分として持たず、それ自体で完結する。
> 賞賛されるものがより悪く、あるいはよくなるというものではない。
 賞賛されたからと言ってその人の価値が高まるわけではない
 批判されても価値が下がるわけではない
 自分や自分の行為の価値は誰かの評価とは関係ない
 しかし、批判されると人は対立してしまう
 対立を避けるためには…
>絶えず波が打ち寄せる岬のようであれ。
> 岬は厳として立ち、水の泡立ちはその周りで眠る。
 我慢するのとは違う
 怒り憎しみというネガティブな感情は望ましくない
 しかし、それを無理やり抑えるのではなく、やがてそういう感情すら必要にならなくなる状態に持っていく
 復讐したらやり返せとか、怒りは怒りで返せと言っているようでは、家庭も世界も平和にならない

 断片的な記述でいい、書き留め続けることが大事

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