自省録(100分de名著)第3回「困難と向き合う」

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/86_jiseiroku/index.html
解説:岸見一郎

>おまえ自身には成し遂げがたいことがあるとしても、それが人間に不可能なことだと考えてはならない。
> むしろ、人間にとって可能でふさわしいことであれば、おまえにも成し遂げることができると考えよ。
 先人が乗り越えられてきたことならば、自分にも乗り越えられる
 困難に陥った時、人に気休めを言われても受け入れられないが、本(自省録)だったら反論できる
 生身の人間だとその場で反論してしまうかもしれないが、本はゆっくりしみ込んでくるから逆に説得される
>本性上耐えられないことはだれにも何一つ怒らない。

>今後はお前を悲しみに誘うものにあっても常に次の原理を用いることを覚えておけ。
> それは不幸ではない。
> むしろ、それを気高く耐えることが幸福である。
 悲しみは不幸ではない
 同じ言葉でも時間をおいて読み直すと自省録からまた違うことを読み取れる
 どんな苦難のなかであっても自分を見失てはいけない
 悲しみを真正面に受けとめて気高く耐えていくことが幸福
 悲しみは自分と向き合うこと
  悲しみを抑えてはいけない
  降下していくエネルギーをそのまま上昇するエネルギーに変える
   降下していくジェットコースターを途中で止めると怖いままだが、止めなければまた上昇する
>この上なく立派に生きること、この力はもしも善悪無記のものに無関心でいるならば、魂の中にある。
> 我々のところにやってこないでじっとしているのに、我々がそれについての判断を生み出し、いわば、書かなくてもいいのに、また、気づかずに書いてもすぐに消せるのに、自分自身の中に書き付ける者であることを覚えておけば、無関心であるだろう。
 善悪無記:あらゆる事物はそれ自体では善でも悪でもない
  区別がないこと
  善:(自分にとって)ためになる
  悪:(自分にとって)ためにならない
  財産、地位、成功、容姿、健康など自分にとって幸福である善だとしても、これらをいつ何時失うか分からない
  事故や病気などの苦難にであうと「苦難=悪」と思いがちだがその出来事が起こったからと言って不幸になるとは限らない
 善悪無記なものに囚われないようにすれば幸福に生きられる
  幸福になれるように判断する理性(=ロゴス)が正しく働かなければいけない
  その状態を「アレテー」という
   アレテー:徳、(魂が)優れていること
   何が自分にとってためになるかそうでないか知っていることが人間にとっての「徳」
 「善悪無記なもの」に「アレテー」が伴なえば「善」、伴わなければ「悪」
 絶えず問い続けなければいけない
>起こることすべてを難儀なことに思えても喜んで受け入れよ。
 運命論
 どう受け止めるかは自分で選ぶことができる
 為政者・政治家・企業のトップが「あなたの運命だ。受け入れなさい。」ということがあってはいけない
 「現代のわれわれは逃れることができるんだ」ということは知っておいていい
  逃げではない、自分の幸福に向けての退路決断(例:ブラック企業から離れる)
  ギリギリのところで選択しないといけないことは人生の中で何度もある
>起こることは、すべて正しく起こる。
> 自然に即して悪いものは何一つない。

>お前が今いる状況ほど哲学するために適した生活はないということが、どれだけ明らかに納得されることか。

>自分に起こり織り込まれたもの(運命)を愛し、歓迎すること。
 運命を愛せ
 困難に立ち向かえる力があると自分を信じること
 他者が困難を克服する力があると信じられることが本当の信頼

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