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エッセイ:私と教育

「私と教育」というお題でエッセイを書く機会をいただきました。

「自分にとって教育とは何だろう?」といつも考えているので、改めて言葉にして誰かに伝えるというのは思考を整理するうえで大変ありがたい時間でした。

まだまだ甘いと言われるかもしれませんが、批判も受け止めつつ自分の信念を築き上げていきたいと思います。


私と教育

私は「教育は社会の幸福度を増す活動」だと今はそう思っています。私自身は自分で決めることによって自分が納得できる道を進めることが幸せにつながると考えています。


私は、今年の3月まで6年間学習塾を運営していました。塾を卒業した生徒の中で今でもネットでやり取りをしたりお茶をしたりしている子(A君)がいます。A君は、塾を卒業して大学に進学しました。地元から離れて一人暮らしをすることになったので卒業後は連絡を取り合っていませんでした。

 

卒業から半年ぐらいたってA君がふと教室にやってきました。こちらも一人暮らしなど気になっていたので、「大学生活はどう?」と話を振ってみたのですがどこか歯切れが悪い。じっくり聞いていくうちにふと「大学を辞めたい」と言ってきました。

 

A君はゲームが好きでプログラミングを学びたくて大学へ進学したのですが、自分が学びたいことが学べなくて悩んでいました。大学進学に関しては指定校推薦で先生や親御さんに勧められるがままに選んでしまったということでした。そして私自身も指定校推薦が決まって良かったと思っていました。でも自分で決めきれなかったこと、やりたいことができないことなどでA君が悩んでいたことは、私にとってものすごく反省させられる出来事でした。
 

それから2か月ほどたってA君が塾にやってきて「大学を辞めて、ゲームの専門学校に行きます!」と教えてくれました。はじめは驚きましたが、自分でその進路を選択したことに、それを自分に伝えてくれたことにとてもうれしく思いました。またその進路の選択を認めてあげた親御さんにも頭の下がる思いでした。


今でもA君とはネットでやり取りをしていて、彼が試作したゲームをプレイさせてもらうこともあります。彼が「ゲームつくってみました!」や「こんなVRの技術が出ました」と連絡をくれたり、お茶の席で楽しそうに学校の授業のことなどを話してくれたりすることにとても喜びを感じています。


教育は社会の幸福度を増す活動。「自分で決めることによって自分が納得できる道を進める」ことでお互いに楽しかったり嬉しかったりする。そして、そんな社会がつくり上げられていくことを願っています。