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記事:「スポーツは人格形成に必ず役立つ」はウソである

重要な指摘だと思います。

記事にも出てきますが、本田圭佑選手が先日ワールドカップの解説で、

「見えないところで汚いことをすることもサッカーの一部やったけど、VARが導入されたことで、許されなくなった。正直この流れには寂しい気持ちはある」

とさらっと言ったことには苦笑しました。

自分も部活でサッカーをしていたのでそういう気持ちになるのはわからなくもないですが、正直あまり好きになれない部分でもありました。(だからいい選手ではなかったのかもしれません)

 

以下、記事抜粋です。

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・そもそもスポーツの語源はラテン語の“deportare”であり、気晴らしを意味します。
 ・日々の労働や日常の規範からの逸脱が、気晴らしになり得ます。
 ・スポーツそのものが労働や日常の規範の連続であるならば、気晴らしにはなりません。気晴らしは日常の規範にとって危うさを持っています。

・「部活動が生徒の人間形成に寄与する、教員も関わって当然」という考えは海外では非常識である

・アメリカの大学生アスリートと高校生アスリートを対象にした調査結果 ・ゲームズマンシップ(gamesmanship)という、ルールの範囲内、もしくはルールを破って実践される、試合で勝利するための行動に関する調査。
 ・怪我をしている箇所への攻撃、報復死球、威嚇・脅し、得点の積み上げ、審判へのだまし、トラッシュトーク(言葉による攻撃)、派手なパフォーマンス、誤審の黙認、非公開情報の活用などについてどう思うかを問う。
 ・トラッシュトーク(例えば、得点者が相手ディフェンダーに「お前はへぼだ」などと言う)について尋ねた項目では、大学生アスリートの半分以上が、高校生アスリートでも約5人に1人が許容するという結果。
 ・ブーイングややじであれば許容されることにイエスと回答した大学生は約3人に1人。

・学生・生徒がトラッシュトークややじを許容する背景には、彼らが目標とするプロスポーツ選手たちがトラッシュトークを試合で日常的に用いていることが影響していると考えられる

・ベンチにいるプレイヤーが対戦チームをあざけり、やじることはアメリカのみならず日本においても行われている
 ・運動部活動だけでなく、少年野球などにおいても行われてきたことは多くの人が知るところ

・バスケットボールやサッカーのみならず、どのようなスポーツにおいても通常は、選手が対戦相手を侮辱・攻撃する発言は競技規則で禁止されています。明確にルールで禁止されているにもかかわらず、他者を傷付ける行為を許容する態度は、決して社会性が養われているとは言い難いでしょう

・審判による誤審を黙認することを、大学生は約3人に2人が、高校生でも約半分が受け入れるという驚きの結果
 ・誤審がアスリートたち自身の責任というよりむしろ、ルールを執行する審判の責任であると考える傾向があるためであると考察しています。
 ・審判のジャッジを尊重していると言えば聞こえは良いですが、自身にとって不利になる判定であれば当然、審判に対する抗議は行われます。
 ・誤審の黙認は、先ほどのトラッシュトークのように何らかのルールに違反しているわけではありませんが、公正さを尊ぶ態度が養われているとは言えないでしょう。

・日本の大学生・高校生アスリートに同様のアンケートは実施されていませんが、運動部活動に参加する生徒は反社会的傾向が高く、学校での逸脱傾向が高いという研究も存在します。
 ・ここでいう反社会的傾向とは、先生や友達に対するいじめや、授業中に大声を出して騒ぐ行為などを指します。

・スポーツは日常生活で禁止される行為が許容される、独特のスポーツ倫理(対戦相手の弱点を攻める、対戦相手の嫌がることをする、殴る・蹴る・絞める・体当たりといった身体的攻撃をする)が存在する

・アスリートとして純粋に勝利を追求するためには、普通の人間としては「えげつない」行為を遂行する能力・技能が必要になる

・運動部活動を行っていても社会性に乏しい学生もいる一方で、サークルに加入したり、帰宅部という運動部活動に加入していない学生が社会性に優れているケースもあります。
 ・飲酒、喫煙、薬物使用、いじめ、暴力といった事件が運動部活動に加入している学生によって繰り返され、また、運動部活動に長期にわたり加入していたトップアスリートが他者を尊重せず、公正さを尊ぶ態度が培われていないスキャンダル事例からも明らかです。

・「えげつない」行為が要求されるスポーツは、それほど上等なものでありません。
・一方で、日常の倫理とは異なる倫理を求められることが魅力の一つであるとも考えています。

・指導者が運動部活動において部員の社会性を養うことを目標とするのであれば、以上のようなスポーツの側面を認識する必要があり、ひたすらに高いレベルを目指すことやスポーツをただ行わせるだけでは、その目標は到底達成されない点を肝に銘じておく必要があります。

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「スポーツは人格形成に必ず役立つ」はウソである…「アスリートほどルールを軽視する」という衝撃データ

https://president.jp/articles/-/64193