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読書メモ:大人の覚悟

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ただ今日、これからの社会では「考える力」が必要だから、学校で思考力を育てようという動きが出てきている。冗談か本気か分からないのだが、もし本気でそうしようというのであれば、話は違ってくる。学校も社会も、根本的に考えを改めるべきだ。

本書で述べたように、考えるためには、問うことができなければならない。問う力を育てるためには、何でも問うていい場が必要になる。

しかし今まで通り、教師が出す問い、教科書に出てくる問いだけが許されているなら、そこで育てられるのは、❝与えられた❞問題に答える力、
考えさせられる力だけである。つまり、今と大して変わらないのだ。いや、建前が変わるだけに、欺瞞がはびこり、いっそう混乱するだろう。

実際に学校や社会が期待しているのは、普段の授業や仕事では素直に言うことをよく聞き、 いざとなったら元気いっぱい自分で考えて主体的に動いてくれる、そういう
都合のいい人間になってくれることだろう。だが、そんなことは不可能である。

 

考えることを本気で認め、促そうとするなら、そういう疑問、疑念(なぜこんなことをするのか?本当にこれは必要なのか?など)を受け止め、応答しなければならない。学校や社会(大人)にその覚悟はあるのだろうか。

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